- 試合のとき、言ってはいけないことは?
- 試合のとき、どうアドバイスしてあげればいい?
- 試合のとき、どんな声かけをするのがいいの?
こう考えている指導者・保護者の方に向けて、この記事では少年サッカーの指導歴22年の浦部が、少年サッカーの試合での正しいコーチングを解説します。
少年サッカーにおいて、試合中のコーチングはとても難しいものです。練習と違い、試合を止めて説明することはできません。言葉で細かく伝えようとしても、プレー中の子どもたちは必死です。監督・コーチの声が頭に入らないことは、珍しくありません。
子どもたちへ試合中に行うべきなのは、良いプレーへの声かけと、次につながるポジティブな声かけです。子どもたちが伸び伸びプレーできるコーチングこそ、素晴らしいコーチングです。
良いプレーへの声かけを増やすと、子どもたちは伸び伸びとプレーし、チャレンジを重ねる中で成功と失敗を経験でき、チームもどんどん良いサイクルに入ります。指導者の声かけ次第で、選手の気持ちを上げ、チームと選手の成長に導くことができるのです。
この記事の結論(先に要点だけ)
| ポイント | 要点 |
|---|---|
| 試合中コーチングの原則 | 失敗を責めず、ポジティブに導く |
| 罵声がダメな理由 | 子どもが混乱し、チャレンジをやめてしまう |
| 良い声かけの型 | 結果ではなく「過程」を問いかける |
| 代表的な良い声かけ | ナイスチャレンジ/狙いは間違ってない/切り替えよう |
| 良いコーチングの土台 | 普段からのコミュニケーションと観察 |
それでは、試合中の声かけを具体例で見ていきましょう。
少年サッカーの試合のコーチングで気をつけることは?
まず、この章の要点です。
- 失敗に対してではなく、ポジティブなコーチングをする
- 罵声・罵倒は子どもを混乱させ、チャレンジを奪う
- ハーフタイムは「子ども自身に話させる」時間にする
試合のコーチングで気をつけることは、失敗に対してコーチングするのではなく、ポジティブにコーチングすることです。少年サッカーを見ていて心が痛くなるのは、「罵声」のようなネガティブなコーチングをする指導者です。「罵声」では、子どもたちは成長しません。
罵倒のようなネガティブなコーチングでは、子どもたちは混乱してしまいます。罵声を浴びせると、子どもたちは次のようなネガティブなマインドでプレーしてしまいます。
- 怒られるのを怖がりながらプレーする
- ミスしたくないからチャレンジしない
- 普段できているプレーができなくなる
逆に、子どもたちがポジティブなマインドでプレーすると、こんなプラスが起こります。
| ネガティブなコーチングだと… | ポジティブなコーチングだと… |
|---|---|
| 怖がりながらプレーする | 仲間と話し合ってプレーを修正する |
| ミスを恐れてチャレンジしない | 失点やミスの後も前向きに声をかけ合う |
| 普段のプレーができなくなる | 積極的にシュート・スルーパスを狙える |
よくある失敗:ミスの直後に感情で反応してしまう。ネガティブなコーチングからは何も生まれません。まずはひと呼吸おいて、次につながる言葉を選びましょう。
そのために、ハーフタイムはじっくり選手たち自身に話をさせ、指導者からも話します。
- 何が上手くいって、何が上手くいかなかったのか
- これからどこを修正するのか
こうしたことを話してから後半に臨むと、前半と後半でまた違った子どもたちの成長が見られます。
少年サッカー試合時におすすめの声掛け
この章の要点です。
- 良いプレーも失敗も、ポジティブに声をかける
- 上手くできたことに気づく「アンテナ」を張る
- 完璧を目指さず、少しずつ意識すればいい
子どもたちが良いプレーをしたときも、失敗をしてしまったときも、ポジティブなコーチングを心がけましょう。前向きになれる声かけは、子どもたちの背中をそっと押してくれます。当たり前ですが、子どもたちは褒められると嬉しくなり、「もっと頑張ろう!」と考えるようになります。
指導者さんや保護者さんは、子どもたちのプレーや立ち振る舞いで、上手くできたことにたくさん気づけるようにアンテナを張りましょう。一度に完璧な声かけをするのは難しくても、ちょっとずつ意識していけばいいんです。
まずは、良い声かけと避けたい声かけを対比で押さえてください。
| 場面 | NGな声かけ(結果を責める) | 良い声かけ(過程を問う・背中を押す) |
|---|---|---|
| ボールを奪われた | 何で取られるんだ! | キーパーの位置は見てた? ボールの置き場所はそこでよかった? |
| パスがつながらない | ちゃんとパスを出せ! | 味方の動きは見えてた? なぜカットされたと思う? |
| シュートを外した | 決めろよ! | ボールのもらい方はそれでよかった? |
| ドリブルで仕掛けた | (何も言わない/ミスだけ指摘) | ナイスチャレンジ! もっとこうしたら? |
ポイントは、結果を責めるのではなく、過程を問いかけること。同じ場面でも、言葉ひとつで子どもの受け取り方はまるで変わります。
良い声かけ3つの例
良い例①「ナイスチャレンジ!」
「ナイスチャレンジ!」という声かけは、子どもたちの更なるチャレンジを後押しします。
ドリブルで相手に仕掛けるなど、チャレンジした選手に使うことが多いです。その他のプレーでも、積極的なプレーには褒めましょう。チャレンジしたことをポジティブに受け止め、「もっとこうしたらよかったんじゃないか?」と選択肢を与えると、子どもたちも同じミスをしないために考えてプレーするようになります。
良い例②「スルーパスを狙う姿勢は間違っていないよ!」
この声かけをすると、選手がパスミスをしても消極的になりません。
スルーパスは相手の裏を狙ってゴールに近づく良いプレーであり、狙う姿勢はポジティブなことです。スルーパスを出そうとしたということは、ゴールを目指して顔を上げ、出す仲間を見られていたということ。チャレンジしているプレーなので、失敗してもポジティブに受け入れましょう。
ワンポイント:ポジティブに考えるということは、修正できる可能性がたくさんあるということ。修正すれば、失敗したプレーも成功に変えられます。
良い例③「切り替えて次のプレーをしよう!」
この声かけは、ミスをしてもチャレンジを恐れないようにするためのコーチングです。
シュートを打ったけれど外れてしまったときなどに使えます。シュートを狙うのはサッカーでも特に大事なプレー。ミスを恐れては、次のチャンスもまたミスしてしまうかもしれません。シュートを打つのは、誰よりも「ゴールしたい!」と思えたからなので、この積極的な姿勢は褒めるべきです。そのうえで「シュートまでの段階でミスにつながるプレーはなかったか?」を一緒に振り返ると、より流れがスムーズになります。シュートの質そのものを上げたいときは、少年サッカーのシュート練習3選も役立ちます。
悪い声かけ3つの例
悪い例①「何で取られるんだ!」
原因が分からない子どもは、どんどん消極的になってしまいます。「ボールを奪われた」という結果にコーチングしても、何も解決しません。「何故取られてしまったのか?」を子ども自身に考えさせるコーチングに変えましょう。
- 「キーパーの位置は見てた?」
- 「ボールの置き場所はそこでよかった?」
- 「パスの強さは今ので良かった?」
ドリブルやパスで取られたのなら、方向の修正、ボールの持ち方、目線、相手DFとの駆け引きをコーチングする。結果を責めるのではなく、過程をコーチングすることが重要です。
悪い例②「ちゃんとパスを出せ!」
漠然としたコーチングだと、子どもたちは困惑してしまいます。代わりに、ミスの原因を考えさせましょう。
- 「なぜスルーパスがつながらなかったんだろう?」
- 「味方の動きは見えていた?」
何故そのパスをカットされたのかを指導者が整理して、問いかけることで、選手はより考えてプレーするようになります。
悪い例③「決めろよ!」
これも結果論です。ゴールを決めたくない選手なんていません。ゴールを狙っていた選手のために、
- 「ボールのもらい方はそれでよかった?」
- 「キーパーの位置は見てた?」
とプレーの過程をコーチングする方が、子どもたちは次で修正できます。「決めろよ!」のような投げやりなコーチングは、チャレンジ精神を奪ってしまうので、過程やポジティブな声かけに変えていきましょう。
【番外編】練習時のコーチングはこうすればいい
試合と同じく、練習でもたくさんチャレンジができる声かけを心がけましょう。ポジティブな声かけは、子どもたちに「やる気」や「自信」をもたらします。
子どもたちは、練習でできたプレーしか試合ではできません。稀に試合で教えていないプレーが出ることもありますが、基本は練習した事が中心です。だからこそ、積極的なプレーを褒めるコーチングを意識してください。逆にネガティブな声かけは、「やる気」や「自信」を奪う可能性があります。まずは子どものプレーを一度肯定してあげることが重要です。
頭ごなしの否定は、子どものモチベーションを下げてしまいます。なぜ声かけがそこまで大きく成長を左右するのか、その背景はなぜうちの子は伸びない? 少年サッカーで伸びる子の特徴でも詳しく解説しています。あわせて、少年サッカーにおけるメンタルの重要性も参考になります。
保護者ができるサイドラインでのサポート
試合を応援する保護者も、声かけひとつで子どもの背中を押せます。
- 結果ではなく挑戦を褒める:「決めろ」ではなく「ナイスチャレンジ!」
- 指示を出しすぎない:ベンチと保護者から別々の指示が飛ぶと子どもは混乱する
- プレー後に問いかける:「今のはどうすればよかったと思う?」と自分で考えさせる
- 表情で味方だと伝える:ミスしても否定しない空気が、次の挑戦を生む
サイドラインからの声は、子どもにとって想像以上に大きく響きます。前向きな言葉を届けてあげてください。
少年サッカーの最適なコーチングのまとめ
最後に、この記事の要点を振り返ります。
- コーチングは子どもをポジティブにもネガティブにも導ける、諸刃の剣
- 失敗という「結果」ではなく、「過程」を問いかける
- 良い声かけの型は「ナイスチャレンジ」「狙いは間違ってない」「切り替えよう」
- 罵声・漠然とした指示はチャレンジ精神を奪う
- 良いコーチングの土台は、普段からのコミュニケーションと観察
「これを言えばいい」という言葉だけのコーチングではなく、1人1人のプレーをしっかり見てコーチングできるようにしましょう。子どもたちにとって良いコーチングとは、自分のことをしっかり観察し、自分のために情熱を持ってコーチングしてくれることです。指導全般の考え方は少年サッカーの指導とは?でもまとめています。
そして、1人1人を丁寧に観察し、その子に合った声かけを届けるには、目の届く少人数の環境が有利です。Breiruでは、定員8名の少人数制アカデミーと、一人ひとりの課題に向き合うパーソナルレッスンで、子どもが伸び伸びチャレンジできる環境を用意しています。お子さまのサッカーについてのお悩みがあれば、いつでもご相談ください。
よくある質問
Q. 試合中、つい結果を責めてしまいます。どうすればいいですか? まずひと呼吸おいて、「今のはどうすればよかったと思う?」と過程を問いかける形に変えるとよいかもしれません。感情的な言葉よりも、次につながる問いが子どもの挑戦を後押しします。
Q. ベンチのコーチと違う指示を出してもいいですか? 別々の指示が飛ぶと子どもは混乱しやすいので、保護者は指示より応援に回るのがおすすめです。気になった点は、プレー後に一緒に振り返るくらいがちょうどよいかもしれません。
Q. 褒めてばかりだと甘やかしになりませんか? 挑戦や過程を認めることと、甘やかしは別ものです。良いプレーを具体的にほめつつ「もっとこうしたら?」と選択肢を添えると、子どもは考えながら成長しやすくなります。
Q. 家では試合のことにどこまで触れていいですか? あれこれ指摘するより、子どもが話したくなった時に聞き役になるのがよいかもしれません。まずプレーを一度肯定してあげると、自分から振り返るようになることが多いです。






