「小学生年代を指導するとき、いちばん大切なことは何だろう?」 「効果的な練習メニューを組みたいけれど、どこから始めればいい?」 「子どもたちに、どう接すれば伸びていくんだろう?」

こうした悩みは、少年サッカーに関わる指導者や保護者の多くが一度は抱えるものです。

たくさんの現場を見てきて感じるのは、良い指導者ほど子どもたちにポジティブな声かけをしているということ。逆に、うまくいっていない現場では、ネガティブな声かけが飛び交っていることが多いです。

もちろん、子ども一人ひとりのスキルや成長度合いによって、要求する内容は変わります。それでも共通して大切なのは、指導者が子どもたちのマインド(考え方)をコントロールすること、そして何より子どもたちが『楽しい』と感じることです。

この記事では、子どもたちとうまく関わり、『楽しい』を引き出すための考え方と、今日から使える基礎練習メニューを紹介します。

この記事の結論(先に要点だけ)

ポイント要点
指導の本質教え込むより、子どもの「楽しい」と「成長」を引き出すこと
『楽しい』の意味ふざけることではなく、課題を達成した喜びと成長を感じること
指導者の役割プレイヤーズファースト。主役は子ども、指導者はサポート役
声かけの基本ポジティブに。1人1人を見て、頑張りをとことん褒める
まず何をやるインサイド・インステップ・リフティングの基礎を丁寧に

それでは、具体的に見ていきましょう。

少年サッカーの指導で大切なこととは?

まず、この章の要点を整理します。

  • 『楽しい』=ふざけることではなく、目標や課題を達成した喜び
  • うまくいかない時こそ、答えを教えず「自分で考えるきっかけ」を与える
  • 低学年と高学年では「楽しい」の中身が変わる
  • 感情だけの指導は、子どもを「顔色をうかがうプレー」にしてしまう

冒頭で、「指導者には子どもたちのマインドをコントロールすることが重要で、子どもたちが『楽しい』と感じることが大切」とお伝えしました。

ここで勘違いしがちなのが、『楽しい』を『ふざける』『真剣にやらない』と変換してしまうことです。ここで言う『楽しむ』とは、自分で決めた目標や、コーチから与えられた目的を達成したときの喜びと成長を感じること。それが『楽しい』につながっていきます。

もちろん、うまくいかないこともあります。うまくいかない時こそ、指導者が答えをただ教えるのではなく、子どもに課題として「自分で考えるきっかけ」を与える。子どもはその課題を達成するために一生懸命になり、乗り越えたときに成長し、『楽しい』を感じるのです。

低学年なら「友達とボールを蹴るのが楽しい」「コーチに褒められて嬉しい、だから楽しい」。それが一番のモチベーションになります。高学年になるにつれて競争が激しくなり、いろいろと『楽しむ』ことが難しくなってきます。だからこそ、年代に合わせた関わり方が必要です。

よくある失敗:試合中に感情だけで指導してしまう。すると子どもは「怒られないように」「ミスしないように」と指導者の顔色を見ながらプレーします。それでは楽しくないし、自分で考える力も育ちません。

僕自身、知り合いの少年サッカーを観に行ったり大会を見たりする中で、「監督」「コーチ」「保護者さん」の過度なコーチングをよく見かけます。ひどい時には罵声さえ聞こえてきて、とても残念な気持ちになります。試合中の声かけについては、少年サッカーの最適なコーチングとは?でさらに詳しく掘り下げているので、あわせて読んでみてください。

少年サッカーを教えるうえで大切なことは、次の4つです。

大切なことひとことで言うと
1人1人をしっかり見る全体ではなく「その子」を見る
応じた宿題・課題を与えるレベルに合った「乗り越えられる壁」を渡す
しっかり褒める達成と頑張りは、とことん認める
ポジティブな声かけを心がける否定より、次につながる言葉を選ぶ

子どもたちは褒められたいんです。これは甘やかすこととは違います。頑張るきっかけを与えて、達成できたことや頑張っている姿勢はとことん褒める。それが少年サッカーの指導で大切なことです。

少年サッカーでの指導者の役割

この章の要点です。

  • 主役はあくまで子ども(プレイヤーズファースト)
  • 指導者は「一緒に成長する」サポート役
  • 試合で出せるのは、普段の練習で積み重ねたことだけ
  • 保護者との良好な関係づくりも指導者の役割

少年サッカーも、あくまで子どもたちが主役です。

『プレイヤーズファースト』という言葉があるように、プレーするのは子どもたち。指導者は子どもたちの成長をサポートする存在です。子どもに寄り添い、一緒に成長していくものなんです。

甘やかすのではなく、

  • 子どもたち1人1人をしっかり見てあげること
  • 子どもたちに良い課題を与えてあげること

子どもは与えられた課題を乗り越え、成長することで、どんどんサッカーが楽しくなっていきます。育成年代の指導者がかける『声かけ』は、それだけ重要なのです。

ワンポイント:試合中に『何でできないんだ!』と罵声を浴びせる指導者は、普段の練習のどこかに足りないところがあるサインです。子どもは普段の練習で積み重ねたことしか試合で発揮できません。足りないところを見つけて修正し、どれだけ試合につなげられるかが指導者の腕の見せどころです。

なぜその子が伸びるのか、あるいは伸び悩むのか。その背景を知りたい方は、なぜうちの子は伸びない? 少年サッカーで伸びる子の特徴もヒントになります。

少年サッカーにおすすめの練習メニュー3選

ここからは、今日から取り組める基礎メニューを3つ紹介します。どれも基本中の基本ですが、それだけ奥が深く、良い選手になるための土台になります。まずは一覧で全体像をつかんでください。

練習メニュー主な目的目安・流れ「できた」の基準
①インサイドキック正確なパスの土台づくり対面→角度をつける→へそを合わせない狙った所へ強弱をつけて蹴れる
②インステップキックシュートにつながるミートボレー→置きボール→動くボール足の甲で芯を捉えて蹴れる
③リフティング(トラップ寄り)全プレーの土台になるボールタッチ顔の高さ→身長の倍→対人落ち着いて足元に収められる

いきなり難しいことをするのではなく、正確に、徐々にスピードを上げてできるようにしていきましょう。

練習メニュー①『インサイドキック』

サッカーをするうえで、一番基礎の練習と言えます。この練習をしっかりやるかやらないかで、今後の成長度合いが大きく変わってきます。

練習の流れ

  1. 対面パス
  2. 角度をつけたパス
  3. へそを合わせないパス

練習のポイント:いきなり難しいことをするのではなく、徐々に難易度を上げていきましょう。

よくある失敗:正確さより強さを優先してしまう。まずは「止める・蹴る」を丁寧に。スピードは正確さが安定してから上げれば十分です。

練習メニュー②『インステップキック』

シュートにも多用するインステップ。インサイドパスと同じくらい重要なキックです。フォームも大事ですが、特にミート(芯を捉えること)に意識を向けましょう。

練習の流れ

  1. 基本ボレー
  2. プレスキック(地面に置いたボールをキック)
  3. 動いているボールをキック

練習のポイント

  • 浮いているボールを蹴ることで、ミートの練習になります
  • 止まっているボールも、しっかり足の甲でインパクトを意識する
  • 動いているボールを蹴るときは、しっかりボールを見る

このミートの感覚は、そのままシュートの精度につながります。得点力をさらに伸ばしたい場合は、少年サッカーのシュート練習3選も参考にしてください。

練習メニュー③『リフティング』

ここで言うリフティングは、トラップに近いものです。トラップは全てのプレーにつながるボールタッチ。この動作をスムーズにすることで、プレースピードや正確性が格段に上がります。

練習の流れ

  1. ボールを顔の高さまで上げて、トラップしながらリフティング
  2. ボールを自分の身長の倍の高さに上げて、トラップしながらリフティング
  3. 対人で、いろいろなボールを投げたり蹴ったりしてもらい、それをトラップしながらリフティング

練習のポイント:リフティングが難しい場合は、まず足元にしっかりトラップできるようにしましょう。

ワンポイント:回数を競うより「1タッチ目でどれだけ落ち着いて置けるか」を大事にすると、試合で活きるトラップになります。楽しみながら続けるコツは子どもが夢中になる楽しい練習も参考に。

保護者ができる家でのサポート

技術指導はコーチに任せつつ、ご家庭では「接し方」と「環境づくり」で大きくサポートできます。

  • 結果より過程を褒める:勝ち負けやミスより「今日は最後まで走り切ったね」を評価する
  • 答えを言わずヒントを渡す:「どうすればよかったと思う?」と問いかけ、自分で考えさせる
  • 顔色をうかがわせない:「怒られないように」ではなく「やってみよう」と思える空気をつくる
  • 家でも少しボールに触る時間を:インサイドやトラップは家の中でも遊び感覚で反復できる

こうした小さな積み重ねが、子どもの自主性と「サッカーが楽しい」という気持ちを育てます。

まとめ|少年サッカーの指導で大切なこと

最後に、この記事の要点を振り返ります。

  • 指導者は子どもを『指し導く者』。教え込むより「楽しい」と「成長」を引き出す
  • 『楽しい』とは、課題を達成した喜びと成長を感じること
  • 1人1人を見て、良い課題を与え、頑張りをとことん褒める
  • 声かけは常にポジティブに。厳しい言葉でも、心に火をつけるものならいい
  • 基礎(インサイド・インステップ・リフティング)を正確に、徐々にスピードアップ

困難にぶつかった子どもを見捨てず、根気よく伝え、時には見守る。指導者の情熱があれば、子どもたちの『楽しい』は大きくなり、成長につながります。そんな指導者が増えることで、少年サッカーの育成はもっともっと良くなるはずです。

そして、1人1人をしっかり見て、その子に合った課題と声かけを届けるには、少人数の環境が圧倒的に有利です。Breiruでは、定員8名の少人数制アカデミーと、一人ひとりの課題に合わせたパーソナルレッスンで、お子さまの「楽しい」と「成長」を後押しします。お子さまのサッカーについてのお悩みがあれば、いつでもご相談ください。

よくある質問

Q. 家庭で教えるとき、何を意識すればいいですか? 技術の細かい修正はコーチに任せ、家では「楽しい」と思える雰囲気づくりを優先するのが目安です。答えを言う前に「どうすればいいと思う?」と問いかけると、子どもが自分で考えやすくなります。

Q. ミスをした子どもには、どう声をかければいいですか? 結果を責めるより、挑戦した過程や最後まで走った姿勢を認める声かけが効果的なことが多いです。怒られないためのプレーにならないよう、前向きな言葉を選んであげましょう。

Q. 低学年と高学年で接し方は変えたほうがいいですか? 低学年は「友達と蹴るのが楽しい」「褒められて嬉しい」が原動力になりやすいです。高学年は競争が増えるので、年代に合わせて課題の与え方を変えると向いていることが多いです。

Q. 家での練習は何から始めるといいですか? インサイドキックやトラップなど基礎から丁寧に取り組むのが目安です。回数や強さを競うより、正確さを意識して少しずつスピードを上げると、試合で活きやすくなります。