「少年サッカーに戦術はどのくらい必要なの?」——指導者からも保護者からも、よくいただく質問です。
- 他のチームはどのくらい戦術練習をしているの?
- うちの子(教え子)に教えられることは何?
- そもそも小学生に戦術は早すぎない?
こうした悩みに、少年サッカーの指導歴22年の浦部がお答えしていきます。
少年サッカーは8人制で行われています。その中にも戦術はあり、戦術トレーニングをチーム練習に取り入れているチームもあります。
結論、小学生年代から戦術は取り入れていくべきです。ただし、いくつか大事な注意点があるので、これから詳しく解説していきます。
この記事の結論(先に要点だけ)
| ポイント | 要点 |
|---|---|
| 戦術は必要か | 必要。将来11人制になった時の「土台」になるから |
| 始める目安 | 4年生くらいから少しずつ(4年は初級・5年は中級・6年は上級) |
| 低学年で大切なこと | まずは「サッカーが楽しい」とたくさんボールに触ること |
| 一番の目的 | 勝敗より「サッカー選手としての土台作り」 |
それでは、順番に見ていきましょう。
少年サッカーに戦術は必要?
この章の要点です。
- 結論、少年サッカーに戦術は必要
- 中学年代で11人制になり、戦術理解が求められるから
- サッカーIQ(戦術理解)は選手の「土台」になる
現在の小学生年代は、ボールに触れる機会を増やすと言う目的で、人数を減らした8人制となっています。
結論、少年サッカーに戦術は必要です。
小学生から中学生へ年代が上がると11人制になり、個人やチームでの戦術や戦術理解度が必要になるからです。
戦術理解(サッカーIQ)が高い選手は、常に考えながらプレーしています。そのサッカーIQを高めるために、小学生のうちからトレーニングを通して戦術理解(サッカーIQ)を養う事は、今後の選手の「土台」を作る上でも必要な事なのです。
何年生から戦術を教え始めるべきなのか?
まず、年代ごとの目安を一覧にまとめます。
| 年代 | 重点 | 戦術の関わり方 |
|---|---|---|
| 1〜3年生 | 「サッカーが楽しい!」と個のスキル | 個や2〜3人で状況を打開する |
| 4年生 | 戦術の入り口(初級) | 少しずつ戦術トレーニング・座学を入れる |
| 5年生 | 戦術の理解(中級) | 徐々にレベルを上げる |
| 6年生 | 次のカテゴリーへの準備(上級) | 技術・運動量・体の使い方・メンタルの土台を固める |
おすすめの時期
子供によって成長速度が違うので、戦術を教えるタイミングに正解はありません。目安としては、4年生くらいから少しずつ戦術トレーニングを入れ、子供たちの戦術理解度を上げるトレーニングや座学をするとよいでしょう。
低学年で戦術やポジショナルプレーをしすぎると、個でのプレーが雑になってしまったり、子供たちの発想を妨げてしまう可能性があります。そして、「考える思考」を止めてしまうとも考えられます。
小学3年生までは「サッカーを楽しむ!」ことを第一優先に、個人のスキルを上げられるトレーニングをするといいでしょう。低学年で何を大切にすべきかは、低学年向けの練習メニューでも具体的に紹介しています。
よくある失敗:低学年のうちから勝つために動きを縛りすぎる。ポジションを固定して「そこから動くな」と教えると、目先は勝てても、子供が自分で考える力とワクワクが育ちにくくなります。
なぜ4年生から戦術が必要なのか?
必ずしも4年生から戦術が必要と言うわけではありません。チームや子供の特徴に合わせて戦術トレーニングをしていく必要があります。
もちろん個人差はあるとして、3年生までは個人や関連する2-3人で状況を打開する事、何より「サッカーって楽しい!」と思ってもらいたい学年なんです。そして4年生から改めて「サッカー」を学ぶと、5-6年生のゴールデンエイジの時期に体も頭もより沢山のことを吸収できるようになります。
もちろん「サッカーが楽しい」という気持ちは、いつまでも持ち続けてプレーしてほしいです。
※あくまで私の経験による考えです。3年生だから戦術を学んではいけないという訳ではなく、チームの状況を見て戦術が必要なのかを判断することが大切です。
高学年のうちに戦術に触れない危険性
小学生年代でも、「戦術」を理解している選手とそうでない選手は、試合を見れば一目瞭然です。
さらに戦術理解度の高い選手は、中学生や高校生になっても、監督の考えやチーム戦術を理解してプレーできるので、チームに欠かせない選手になります。逆に戦術理解度の低い選手は、年代が上がっても何をしたらいいか自分の役割がわからず、うまくチームにフィットできない可能性があります。
そうならないように、小学生年代でも4・5・6年時に(分かりやすくいうと4年は初級、5年は中級、6年は上級)徐々にレベルを上げて行くように指導するのです。小学生年代で戦術に触れることにより、子供たちの戦術理解度やプレーの幅は変わってくるのです。
小学生年代で戦術に触れられれば、学年が上がって新しい戦術を用いたチームに行っても、慌てることなくチームにフィットできます。ポジションごとの役割から戦術理解を深めたい場合は、少年サッカーのセンターハーフの役割は?のような記事もあわせて読むとイメージしやすくなります。
低学年で戦術を教えるメリットとデメリット
低学年の大会などで様々なチームを見ていると、そのチームの思想というか、哲学というか、チームそれぞれの「色」が見えてきます。
ここでは、僕がU-9を見ていた時の経験や大会などで沢山のチームを見てきて感じた、メリット・デメリットを表にまとめます。
| 内容 | |
|---|---|
| メリット | 試合に勝つ可能性が高くなる(お団子サッカーのチーム相手に、1〜2本のパスでゴールまでいける) |
| 自分のポジションでの役割だけは明確にできる | |
| デメリット | そもそもの戦術を理解できない |
| 自主性が少なくなる | |
| ボールに触れる回数が少なくなる |
低学年の大会の「結果」だけを見れば、ポジションを与え、やる事を決めて試合に臨む方が、勝てる可能性は高いでしょう。
しかし、低学年の試合でボールに触る回数が少なくなると、子供たちの自主性も楽しいという気持ちもどんどん失われていきます。低学年では、お団子サッカーだとしてもボールに触る回数を増やした方が、「子供たちのサッカーが楽しい」という気持ちが高くなることが多いです。
そもそも1・2年生に戦術を理解させるのは難しい事かもしれません。「サッカーが楽しい」と感じてもらう工夫は、楽しく続けられる練習の考え方でも触れています。
将来のために子供たちに教えてあげるべきこと
まず要点です。
- 少年サッカーの目的は「サッカー選手としての土台作り」
- 小学生年代がピークではない。長い目で成長を見る
- 低学年は気持ちを大切に、高学年は次のカテゴリーへの準備を
少年サッカーで大切な事は、「サッカー選手にとっての土台作り」だということです。
小学生年代が、サッカー選手としてのピークではありません。指導者や保護者が、目の前の結果にこだわり子供たちの成長を妨げないように、長い目で子供たちの成長を見てあげることが大切です。
- 「サッカーが楽しい!」
- 「沢山ボールに触りたい!」
- 「友達とサッカーしたい!」
低学年であれば、上記のような気持ちを大切にしてあげて、その中で技術を伸ばしてあげるといいでしょう。
高学年では次のカテゴリーに行く準備も含めた、選手としての土台(技術・運動量・体の使い方・メンタル)などを伝えていくことが重要です。子供が長く成長し続けるために大切な視点は、少年サッカーで子供が成長するためにでも掘り下げています。
よくある失敗:大会の結果だけで子供の成長を判断してしまう。勝敗は分かりやすい指標ですが、「今どんな力が伸びているか」を見てあげる方が、長い目では選手を伸ばします。
まとめ(少年サッカーに戦術は必要なのか?)
最後に、この記事の要点を振り返ります。
- 少年サッカーの最大の目的は「サッカー選手としての土台を作る事」
- 戦術理解は、高学年になる4年生から少しずつ触れていくとよい
- 低学年から戦術ありきの戦いは、子供たちの成長を妨げる可能性がある
- 低学年はボールに沢山触れ、「サッカーが楽しい」と感じることが最優先
低学年から戦術ありきの戦いをすることは、子供たちの成長を妨げる可能性もあることを忘れないで下さい。お団子サッカーが良いと言っているのではありません。
低学年ではボールに沢山触れて、サッカーが楽しいと感じることがとても大切です。結果よりも子供たちの成長を考えることが重要なのです。
凄く難しいことなのもわかります。大会でタイトルを取ることは、チームにとっても子供にとっても自信に繋がることでもあるからです。そのため、普段のトレーニングなど様々な場面で、指導者の想いをチーム、子供や保護者に伝えておくことが大切なのです。
プレイヤーズファースト、子供ファーストを心がけましょう。
戦術理解を「その子のペース」で育てたいなら、一人ひとりに目が届く環境が近道です。Breiruでは、定員8名の少人数制アカデミーと、課題に合わせたパーソナルレッスンで、考えてプレーできる選手の土台づくりをお手伝いします。
よくある質問
Q. 小学生に戦術を教えるのは早すぎませんか? 低学年のうちは個の技術と「楽しい」という気持ちが優先されるようです。4年生くらいから少しずつ触れ始めると、高学年で無理なく戦術を吸収しやすくなると考えられます。
Q. 戦術を教えると、子どもの自由な発想が消えてしまいませんか? 低学年から動きを縛りすぎると、自分で考える力が育ちにくいと言われています。年代に合わせて段階的に取り入れ、発想を尊重する余地を残すのがよいでしょう。
Q. 家庭で戦術のサポートはできますか? 専門的な指導はコーチに任せて大丈夫です。家では試合の結果だけで判断せず、「今どんな力が伸びているか」を長い目で見てあげる関わりが向いているようです。低学年の関わり方は低学年向けの練習メニューも参考になります。






