「なんであの子はいつも良いところにいるんだろう」——上手い選手を見ていると、そう感じることがありませんか。実はそれ、偶然ではありません。ボールを持っていない時の「立ち位置(ポジショニング)」が、はじめから違うのです。
試合中、1人の選手がボールを持っている時間はごくわずか。残りの大半は「ボールを持っていない時間」です。だからこそ、その間にどこに立つかで、試合への関わり方が大きく変わります。ポジショニングは、走力や技術がなくても今日から良くできる、いちばんコスパの高い伸びしろです。
この記事は、こんな方に向けて書いています。
- 良い立ち位置の原則を知りたい
- 「もっと良いところで受けなさい」をどう教えればいいか知りたい
- 家や少人数でできる練習を知りたい
少年サッカーコーチ歴15年以上のKenjiが、現場の視点でわかりやすく解説します。
立ち位置は「観る」から始まります。その土台はサッカーの判断力を鍛えるで解説しています。あわせて読むと理解が深まります。
この記事の結論(先に要点だけ)
| ポイント | 要点 |
|---|---|
| ポジショニングとは | ボールを持たない時に「どこに立つか」を選ぶこと |
| 良い立ち位置の3原則 | ①相手の間に立つ ②パスの角度を作る ③良い距離を取る |
| 前提になる力 | 立つ前に「観る」。相手・味方・スペースを把握する |
| 伸ばす鍵 | 少人数で「関わる回数」を増やして反復する |
技術がなくても、立ち位置は今日から良くできます。まずは、なぜそれほど差がつくのかから見ていきましょう。
なぜ「立ち位置」で差がつくのか
同じチームでも、いつもボールに関わる子と、なかなか関われない子がいます。その差の多くは、走った量ではなく「立っている場所」です。
- 良い立ち位置 → パスが来る・前を向ける・関われる
- 悪い立ち位置 → 相手の影に隠れて、パスが出せない
良い立ち位置に立てると、味方は安心してパスを出せます。逆に相手の背後や足元に立っていると、出したくても出せません。つまりポジショニングは、「自分がボールに関わる回数」を自分で増やせる技術なのです。
よくある失敗:ボールが欲しくて、ボールに近づきすぎる。全員がボールに寄ると、逆にスペースがなくなって出しどころが消えます。「離れて良い場所に立つ」ほうが、関われることは多いのです。
良い立ち位置の3原則
良いポジショニングには、共通する原則があります。この3つを意識するだけで、立ち位置は見違えます。
| # | 原則 | ひとことで言うと | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| ① | 相手の間に立つ | マークの選手と選手の“間”に立つ | 相手の真後ろ(影)に隠れる |
| ② | パスの角度を作る | 味方から見えるナナメの位置へ | 味方と一直線に重なる |
| ③ | 良い距離を取る | 近すぎず遠すぎない距離 | 近づきすぎて渋滞する |
①相手の「間」に立つ
相手選手と相手選手の「間」に立つと、どちらの相手からもマークされにくく、パスを受けやすくなります。相手の真後ろ(影)に隠れると、味方からは見えず、パスコースもありません。
- 相手2人のちょうど間を狙う
- 相手の視野から外れる(背中側を取る)
- 受けたら前を向ける向きで立つ
②パスの「角度」を作る
味方と一直線に重なっていると、間に相手がいてパスは通りません。少しナナメにずれて、味方から“見える”角度を作ると、パスコースが生まれます。
味方がボールを持ったら、「今、自分は見えているかな?」と一歩ずれる。これだけでパスは驚くほど通るようになります。サポートは3人でナナメの三角形を作るのが基本形です。
よくある失敗:味方の正面(一直線上)で待つ。相手一人で二人を消されてしまいます。半歩ナナメにずれるだけで、パスの出し手はぐっと楽になります。
③良い「距離」を取る
近すぎると相手ごと寄せられて渋滞し、遠すぎるとパスが届きません。近すぎず遠すぎない距離——味方が余裕を持って出せて、自分も余裕を持って受けられる距離を探します。
- 味方が苦しい時は、少し近づいて助ける
- 前が空いている時は、思い切って距離を取り前へ
- 状況で距離を変えられるのが良い選手
良いポジショニングを身につける練習メニュー
立ち位置は「状況のある練習」で伸びます。家や少人数でできるものを、やさしい順に紹介します。
| 練習メニュー | 主な目的 | 目安 | 「できた」の基準 |
|---|---|---|---|
| ①三角形パス | 角度を作る | 5分 | ナナメの位置で受け続けられる |
| ②鳥かご(4対1・3対1) | 間・角度・距離 | 5分 | 相手の逆を取って受けられる |
| ③2対2+サポート | 立ち位置の判断 | 各5分 | 見える位置に動き直せる |
| ④ミニゲームで“観る” | 実戦での立ち位置 | 10分 | 受ける前に良い位置へ立てる |
①三角形パス(角度を作る)
3人でナナメの三角形を作ってパス回し。一直線にならず、常に角度をつけることを意識します。パスが詰まったら「角度が消えている」サイン。少し動いて角度を作り直します。
②鳥かご(4対1・3対1)
四角の中で、真ん中の1人にボールを取られないようパスを回します。相手の間に立つ・角度を作る・良い距離の3原則が全部必要になる、定番かつ最高の練習です。
③2対2+サポート(立ち位置の判断)
サポート役を1人加え、「見える位置に動き直す」を繰り返します。パスが出せない時に、自分から角度を作り直す動きが身につきます。
④ミニゲームで“観る”(実戦での立ち位置)
ミニゲームで、「受ける前に周りを観て、良い位置に立つ」を意識します。判断力の“観る”と直結する練習です。関わる回数の多い少人数ほど、立ち位置の反復量を稼げます。
ポジションごとの立ち位置の考え方は、センターハーフの役割やジュニアに戦術は必要?でも触れています。
年代別|ポジショニングの育て方
| 年代 | 重点 | おすすめの取り組み |
|---|---|---|
| 低学年(1〜3年) | ボールに寄りすぎない・広がる | 三角形パス/鳥かごを遊びとして |
| 高学年(4〜6年) | 間・角度・距離を状況で選ぶ | 4対1/2対2+サポート/ミニゲーム |
低学年は「団子サッカー」から抜け出すために、まず広がる・離れて受けるを体感するだけで十分です。高学年になったら、3原則を状況で選べるように。
保護者ができる家でのサポート
技術指導はコーチに任せつつ、ご家庭では「観る視点」と「問いかけ」でサポートできます。
- 試合を一緒に観る:「今、どこに立てば受けられた?」と問いかける
- ボール以外を見る習慣:テレビ観戦で「ボールのない選手」を追ってみる
- 正解を与えない:本人に「どこが良かった?」を言わせる
- 関われた場面をほめる:ゴールでなくても「良い所にいたね」を評価
立ち位置は「観て・考える」習慣で伸びます。判断力の記事の関わり方とあわせて実践してみてください。
まとめ|サッカーのポジショニング
最後に、この記事の要点を振り返ります。
- 試合の大半は「ボールを持たない時間」。立ち位置で関わる回数が変わる
- 良い立ち位置の3原則は「①相手の間に立つ ②パスの角度を作る ③良い距離を取る」
- 立つ前に「観る」。判断力とポジショニングはセットで伸びる
- 技術がなくても今日から良くできる、コスパの高い伸びしろ
ポジショニングは、才能ではなく理解と習慣で伸びる力です。そして「間・角度・距離」は、関わる回数の多い環境で反復してこそ身につきます。
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よくある質問
Q. 「良いところで受けなさい」と言っても伝わりません。 抽象的なので、原則を一つずつ具体的に。「相手の間に立ってみよう」「味方から見える所へ半歩ずれよう」と、行動で伝えると子どもは動きやすくなります。
Q. ボールにばかり寄っていきます。 低学年に多い自然な姿です。まずは「広がると受けられる」を体感させましょう。鳥かごや三角形パスで、離れて受ける成功体験を積むと、少しずつ距離を取れるようになります。
Q. 足が速くなくても良い選手になれますか? なれます。ポジショニングは走力ではなく「立つ場所の選び方」。良い立ち位置に立てれば、スピードがなくてもボールに関われ、前を向けます。むしろ賢さで勝負できる部分です。
Q. 家でポジショニングの練習はできますか? テレビ観戦で「ボールを持っていない選手」を追うだけでも十分な学びになります。三角形パスや鳥かごは、3〜4人集まればすぐできます。「観る」習慣づくりから始めてみてください。






